LEDの直列・並列回路の消費電力の違い

LEDの直列・並列接続時の消費電力の違い
LEDを直列および並列に接続する際の消費電力の違いについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
直列接続の場合
直列接続では、複数のLEDを一列に並べて接続します。
この場合、各LEDには同じ電流が流れます。
例えば、2VのLEDを5個直列に接続し、各LEDに20mA(0.02A)の電流を流すとします。
このとき、電源電圧は 2V × 5個 = 10V が必要となります。
消費電力は、電源電圧と全体の電流の積で求められ、10V × 0.02A = 0.2W となります。
並列接続の場合
並列接続では、各LEDが独立した経路を持ち、それぞれに電流が流れます。
例えば、2VのLEDを5個並列に接続し、各LEDに20mAの電流を流すとします。
この場合、電源電圧は各LEDの順方向電圧である 2V で十分ですが、
全体の電流は各LEDの電流の合計となり、20mA × 5個 = 100mA(0.1A) となります。
消費電力は、2V × 0.1A = 0.2W となります。
電源電圧12Vの場合の比較
電源電圧が12Vで、2VのLEDを5個使用する場合を考えます。
直列接続
5個のLEDを直列に接続すると、各LEDの順方向電圧が積み重なり、必要な電圧は 2V × 5個 = 10V となります。
このとき、電源電圧12VからLEDが必要とする10Vを引いた 残りの2V を電流制限抵抗で消費させます。
各LEDに 20mA(0.02A) の電流を流す場合、消費電力の計算は次の通りです。
- 各LEDの消費電力: 2V × 0.02A = 0.04W
- 5個のLEDの合計消費電力: 0.04W × 5個 = 0.2W
- 電流制限抵抗の消費電力: 2V × 0.02A = 0.04W
- 全体の消費電力: 0.2W + 0.04W = 0.24W
並列接続
各LEDに 個別の電流制限抵抗 を設けて並列に接続すると、各LEDの順方向電圧は同じ 2V で統一されますが、それぞれに電流が流れます。
電源電圧 12V から各LEDの順方向電圧 2V を引いた 10V を 各抵抗で消費 させます。
各LEDに 20mA(0.02A) の電流を流す場合、消費電力の計算は次の通りです。
- 各LEDの消費電力: 2V × 0.02A = 0.04W
- 5個のLEDの合計消費電力: 0.04W × 5個 = 0.2W
- 各抵抗の消費電力: 10V × 0.02A = 0.2W
- 5個の抵抗の合計消費電力: 0.2W × 5個 = 1.0W
- 全体の消費電力: 0.2W + 1.0W = 1.2W
直列接続と並列接続の比較
接続方式 | 必要な電源電圧 | 1個のLEDの消費電力 | 5個のLEDの合計消費電力 | 抵抗の合計消費電力 | 全体の消費電力 |
---|---|---|---|---|---|
直列 | 12V | 0.04W | 0.2W | 0.04W | 0.24W |
並列 | 12V | 0.04W | 0.2W | 1.0W | 1.2W |
このように、直列接続は 全体の電流を抑えることができ、消費電力を低くする ことが可能です。一方、並列接続では 電流制限抵抗が多く必要となり、結果として電力損失が増える ため、効率面では直列接続が有利と言えます。
この比較をもとに、LED回路を設計する際は 電源の効率と消費電力のバランス を考慮することが重要です。
LEDの消費電力の計算根拠
LED単体の消費電力は、直列接続・並列接続に関わらず 0.04W になります。
その根拠を説明します。
LEDの消費電力の計算式
消費電力 P は 電圧 V と電流 I の積 で求められます。
ここで、
- 順方向電圧(Vf): 2V (LED 1個あたりの電圧)
- 動作電流(If): 20mA = 0.02A (設計上の定格電流)
を代入すると、
直列接続の場合
直列に接続すると、LEDの電圧は 積み重なり ますが、電流は 1本の経路を流れる ため一定になります。
- 5個のLEDの合計電圧: 2V × 5個 = 10V
- 電流: 20mA(0.02A)(全体で共通)
各LEDの消費電力は 変わらず 0.04W です。
並列接続の場合
並列に接続すると、各LEDに 同じ電圧(2V) が加わり、電流が 個別に流れます。
- 各LEDの電圧: 2V
- 各LEDの電流: 20mA(0.02A)
- 各LEDの消費電力: 2V × 0.02A = 0.04W
こちらもLED単体の消費電力は 変わりません。
結論
LED単体の消費電力は、直列・並列に関わらず 「電圧 × 電流」で決まるため同じ」 になります。
電源電圧や抵抗の配置によって 回路全体の消費電力は変わる ものの、LED 1個の消費電力は基本的に一定 です。
まとめ
直列接続の場合、全体の電流が少なくて済むため、消費電力を抑えることができます。
一方、並列接続では各LEDに個別の電流制限抵抗が必要となり、全体の電流が増加し、結果として消費電力も増加します。
そのため、電源の効率や電力消費を考慮する場合、直列接続が有利 と言えます。